50代女性、寝る前の動悸が気になるということでの受診です。
写真や心電図には問題なく、症状の起こり方から考えても、それほど問題な状態ではないようです。
「そうですね、検査では問題なかったし、心配な症状のパターンではありませんでしたよ。ただ、動機の時の心電図はわからないから、携帯用の心電図計をお貸ししましょう。」
「そういうのがあるんですね。」
心電図のとりかたをレクチャーして帰宅していただくことにしました。本当に色々便利になりました。
「さて、何かあと気になることはないですか?」
「実は心臓について気になって、専門病院で心臓の造影CTを受けたことがあるんです。」
「そうなんですか、色々心配だったんだね。」
「その造影を見て、先生が『冠動脈が全体に細いね。』って言ったんです。それはどういう意味かを聞いたけど、答えてくれなくて。」
「いや、それはひどいね。そんなこと言われたら気になるでしょ。」
「はい、とっても。」
「冠動脈の見た目って、色々あって例えば、普通3本の血管があるんだけど、1本がとても小さい人とか、極端な場合、2本とかの人もいるのよ。でも、それが生まれつきなら、普通に元気に暮らしていけます。もし、心臓を栄養する血管が3本とも細すぎて血が足らないようなら、今まで元気でいられたわけがないです。」
「そうなんですか。」
「うん、冠動脈硬化、つまり狭心症や心筋梗塞は、ちゃんとした太い血管が動脈硬化で細くなることで起こるのよ。生まれつき、細くて困った人って私はまだ見たことがないよ。」
「そうですか、それなら安心です。」
医師が検査結果をお話しするときに、相手は細かいことは何もわからない前提で話すことが必要です。
たとえ見た目が通常とは離れていても、それが本当に病気につながっているか、またつながっているとすれば、その見た目を直す手段があって、それによりどれくらい病状の改善を見込めるのかをしっかり判断してから、患者さんに伝える必要があると思います。
医師の素朴な感想は、病気を発見する手掛かりとしては有用だと思いますが、それを患者さんに準備なく伝えるのは、プロとしてはどうかと思います。

コメントをお書きください