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ちょっと薬休んでみようかしら


80代後半の女性、高脂血症にて治療中です。前回、尿の色が濃いとのことで、血尿を疑って尿検査をしましたが全く問題がありませんでした。次に薬剤の副作用を疑って一時的に薬を中断。同時に採血をして副作用かどうかの判定をしました。
「そうですね、特に副作用を疑わせるような所見はないんですよ。」
「そうなんですか。」
「はい、そもそも筋肉の障害を起こす事がある薬なので、それが一番心配でしたが、全くそれは大丈夫でした。後は肝臓に障害があって、黄疸を起こしても尿の色が濃くなるんだけど、それも大丈夫だったです。ところで尿の色はどうなってますか?」
「まだ、濃いままが続いています。」
「そうなんですね。前回の検査では血尿はなかったですし、今の所原因は不明ですが、少なくとも心配しなくてはいけない状態ではないようですね。」
「はい、そうですね。では薬は再開した方がいいですか?」
「うん、どうしましょう。薬をのまない間のLDLコレステロールの値が168だったんですよね。そうすると、10年間で狭心症や心筋梗塞になるリスクが6%、中程度のリスクでした。」
「難しいですねぇ。脳梗塞にはなりたくないし。」
「ですよね。でも脳梗塞には高血圧の方がより悪いんですが、そちらは問題なさそうですよ。」
「それなら、ちょっと薬休んでみようかしら。」
リスクに対する反応は本当に人それぞれだと思います。私は、患者さんが何歳だから、検査値がいくらだから、薬をのむべきとか、のまないべきとか他人がすべて決めて良いとは思わないです。
ただ、治療費の観点から考えますと、この方の薬剤費は年間7000円弱(3対7ですから、保険負担が約5000円)なので、治療選択の自由が保障されて良いと思いますが、コレステロール治療薬には分子標的薬など、年間治療費が60万円、90万円の選択肢もあります。そんな高額の治療費については費用対効果による治療のしばりがあってしかるべきだとも思っています。