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低血糖は崖なんですよ


60代男性、糖尿病治療中です。インスリンを1日3回打ってもらっています。
前回のHbA1cは7.2%でした。
「今日のHbA1cは6.6%ですよ。とっても良いですね。」
「はい、よかったです。実は先生に言われて夜のインスリンを減らしてみたら、
朝の血糖が200を越えるまで上がってきたので、夜を増やして打っていました。」
「なるほど、コントロール上手ですね。さすがです。私より上手ですね。」
「それほどでもないです。」
「ちょっと注意しなくてはいけないことがあるんですよ。」
「なんですか?」
「前回のHbA1cは7.2%で、大体良かったのですが、今回は6.6%です。
これって、インスリンを打っている人にとっては良すぎると思っているんですよ。」
「どうしてですか?」
「糖尿病は血糖値が高くなる病気で、HbA1cが上がるにつれて合併症が増えてきますよね。」
「はい、そうです。それが嫌です。」
「それって、どんどん山道を奥に奥にはいって行くイメージなんです。クマや山賊に襲われる前に、麓に引き返せば良いんです。」
「はい。」
「でも、治療を強くしすぎて起こる低血糖は崖なんですよ。急にケガすることがあります。
一つ間違えば命にかかわるんですね。だから、インスリンを使っているときには
あまり治療を欲張ってはいけないんです。」
「そうなんですね、よくわかりました。」
糖尿病の治療は年々本当に進歩していて、様々な方法で血糖値を改善することが出来るようになっています。
ただ、治療を欲張って低血糖を起こして、取り返しがつかない事を起こすと、本当に元も子もなくなってしまいます。特にインスリンを直接注射したり、飲み薬でもインスリンの分泌をうながす薬には注意が必要です。