60代男性、定期的な受診はなく、今日は健康診断の結果をもって8年ぶりの来院です。健康診断で、コレステロールが高いとの結果のようでした。
「そうですね、LDLコレステロールが147と少し高くなっていますね。まず、コレステロールが高いことで、実際に身体の不調はありますか?」
「とくにないんです。職場の同僚もコレステロールが高くて薬をのんでいるようで、心配で受診しました。」
「なるほど。コレステロールが高くても特に症状が起こるわけではないんですが、心臓病、狭心症や心筋梗塞のリスクが増えるんですよ。そのリスクはいろいろな要素がからんできて単純にはわからないんですが、日本動脈硬化学会が出しているアプリで計算することが出来るので、やってみましょう。」
「はい、お願いします。」
「まず、年齢、性別。そしてタバコは吸いますか?」
「去年の11月にやめました。」
「それは素晴らしい。あと、コレステロールの数値を入れて計算させますね。結果は10年以内に心臓血管疾患の発症する確率が6.9%、中リスクとでました。」
「ふむ。」
「そうですね、ピンとこないですよね。10年経ったときに100人同じ様な人がいたら7人くらい発病するんだけど、93人は大丈夫なんです。この数字をどう評価するかと言うことなんですよ。どう思いますか?」
「どうしたらいいんでしょう。先生ならどうしますか?」
「確かに難しいですよね。でも、私なら薬をのむと思います。コレステロールの薬は非常性能が良くて、治療をした人の方が病気にならずに長生きする事がわかっているんですよ。」
「それなら薬のまないといけないのかな。ずっとのまないとけないんですか?」
「そうですね、薬で数値はコントロールできますが、中止するとまた元に戻ってしまいます。」
「そうなんですか、、、。」
「うん、そうですね。あまりピンときていないなら、薬をのむと決心できないなら、今回は薬をのまないことにしますか。一番大事な禁煙が出来ているので、それでもよいと思いますよ。」
「はい、わかりました。また健康診断の結果が出来たら来ますね。」
生活習慣病の治療については、ご本人の治療継続の決心も、治療がうまく行く大事な要素だと思います。
高血圧や重症の糖尿病の治療のように、もう待ったなしで治療を始める必要がある場合もあります。でも、今回の高脂血症の方ように、さほど高いリスクでは無い場合には、経過観察するのも大事な治療方針だと思います。

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