40代女性、糖尿病で治療中です。しばらくコントロールに苦労していましたが、インクレチン作動薬がうまく効いて、体重減少とともに、HbA1cの値も6.9%とまずは良好なコントロールになっています。
「うん、いいですよ。何か気になることがありますか?」
「歯科の先生にHbA1cを5.8%にしないとダメって言われました。」
「ん?!何で?」
「そうしないと、歯周病が良くならないんだって。」
「あのね、その歯科はすぐ変えよう。もう行かないようにしょう。」
「どうしてですか?」
「まず、あなたの糖尿病のコントロールは悪くないのよ。そして、常識としてHbA1cは低ければ低いほど、体には害がないように思うよね。それは間違いではないと思うんだけど、糖尿病の治療で、特に薬を使った治療では、あんまり低い値を狙っていくと、低血糖が起こってしまうことがあるんだ。」
「そうなんですか。」
「うん、そしてその低血糖の発作の時に、心臓病などもっと重大な合併症が起こるので、あんまり無理した値は良くないのよ。だから、糖尿病の治療方針でも7%未満を目標としようとしているんだよ。」
「そうですか。」
「うん、あなたの場合は低血糖を起こしやすい薬はのんでもらってないので、大丈夫だと思うけど、私はその値を目標に治療をすることはできないな。」
「わかりました。」
医療は人の身体を取り扱う科学の一分野です。ですから、それぞれ現場で起こる経験がとても大切です。しかし、現在の治療方針で、強く勧められてる根拠になっている研究結果を、まったく無視して治療目標を指示するのはいかがなものかと思います。

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