50代男性、糖尿病で治療中でした。
仕事終わりの5時ごろに、通常の診察目的に来院しました。受付で4日前から、横になると苦しいとのことを申告してきました。横になったらより苦しくなるのは、起坐呼吸といって、重症の心臓病の症状です。ですから、至急心電図と胸部写真を撮ってからの診察です。
「横になってると、苦しくなってくるの?」
「はい、咳が出てきて。」
「今日は仕事をしてきたんでしょ、どんな仕事ですか?」
「かなり力のいる仕事です。でも、もう肺が広がらない感じでした。」
心電図を見ると、動いていないのに心拍数が110回/分になっています。胸部写真を見ると、全体的に肺が白っぽくなっていて、わずかに胸水も溜まっているようでした。肺全体が真っ白に映るような、いわゆる重症の心不全の所見ではなかったので、心臓エコーをしてみることにしました。
エコーを撮り始めると、咳が始まりました。やはり姿勢を平らにすることがよくないようです、これは本当に良くありません。
エコーで見てみると、左心室全体の動きが非常に落ちていて、血液を十分に押し出せない、いわゆる左心室機能不全の状態でした。
「これはね、かなり重症の心臓病です。いますぐに心臓専門の先生に診てもらえるように連絡してみますね。」
「おねがいします。」
いつもお願いしている恵み野病院に連絡すると、当直の先生は循環器内科の先生ではなかったのですが、快く引き受けていただき、患者さんがきたらすぐに循環器内科医に診てもらえる手配をしていただきました。本当に助かりました。
この方の場合は4日前からの発症で、ご本人もそれほどの重症な症状とは思っていなかったと思います。ただし、苦しくて横になっていられないのは、本当に重症な症状です。今回は恵み野病院の当直の先生に親切にしていただき本当に助かりましたが、何か不調を感じるような場合には、なるべく早い時間に受診していただくのがとてもに大切だと思います。
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