50代男性、健康診断で血圧が180を越えているということでの初診です。
聞いてみると、1年ほど前に少し血圧の薬をのんでいたけれど、何も変化がないので中止していたとのこと。血圧を測ってみると、230/120と非常に高い血圧でした。これは気をつけて診なくてはいけません。さすがにこの血圧であれこれすぐ検査をするのは怖いので、まず降圧薬をのんで休んでもらい、200を切ってから胸部写真や心電図検査をしました。
「まず血圧は非常に高いです。でも幸運なことに胸の写真を見ても、大動脈は腫れていませんし、心電図も正常でした。」
「そうなんですね、よかったです。」
「まずは、今どれくらいの負荷があなたの血管にかかっているか、実際に確かめてみましょう。」
まず血圧計を使って、治療開始前の230まで上昇させます。
「どうですか、かなり痛いでしょ。」
「はい、そうですね。」
「これがさっきまであなたの血管にかかっていた負荷なんです。」
次に血圧計でかける負荷を140まで下げます。
「これが望ましい負荷なんです。どうですか、だいぶん違うでしょ。」
「そうですね、かなり違います。」
「いいですか、これが血圧を治療する意味なんですよ。ここをしっかり腹落ちさせてもらわないと、また前回のように血圧治療を途中で中断することになってしまいますよ。そこはしっかりさせてくださいね。」
「はい、よくわかりました。」
「あなたがここに五体満足で座っているのは奇跡なんですよ。その奇跡を大切にしてくださいね。」
「はい、わかりました。」
ともかく今まで無事でいられて本当に良かったと思います。うまく彼の心に届いてくれたら良いのですが。
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