84歳女性、高血圧と高脂血症で治療中です。
今日は、食欲がないとのご相談。
「ともかく食欲がないんです、温かいご飯とか、お茶とかが嫌なの。」
「食べられないの?」
「いや、食べたくないの。特に野菜が食べたくない。うなぎならいいかなと思って買ってきたんだけど、それも食べたくないの。お腹が空かないの。」
「そうかぁ、食べたくないのは気持ちで、食べられないのは病気だよね。まずはさ、体重が減ってるかどうかで考えてみたらいいかと思うよ。」
「全然減ってない、もっと減ったらいいと思うんだけど。」
「そうか、体重が減ってないんなら、病気と考えないほうがいいと思うよ。」
「そうかしら。」
「うん、あちこち検査したり、薬を増やしたりしても、だいたいろくなことにならないと思う。」
「そうよねぇ。」
「うん、だからまずは、たっぷりお腹を空かせてから食べてみてはどうかな。それでもダメで、体重が減ってくるようなら、また相談してね。」
「はい、わかりました。」
どことなく調子が悪い、いつもと何か違う。
私たちは身体の中で起こっていることのほんのわずかしかわからないので(それでうまくいくようになっている)、少しだけ感じる違和感が病気発見のきっかけであることもあります。
ただ、そこばかりいつも追いかけていると、結局はない病気を探しにいくことになることが多いので、何も見つからず、さらに気分も晴れないということになりがちです。
熱があったり、血圧が高かったり、検査数値が異常だったりとかのように、数字にできる異常はある程度追いかけやすいのですが、「何かが違う」というのは追いかけるすべがありません。
健康診断は健康な時にするものですが、病気の有無を医師に相談する場合には、日常生活に支障がある、体重が減ってきている、眠れないなど、明らかにいつもと違うことが見つかってから、それについて詳しく相談するのが良いかなと思います。
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