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甲状腺が腫れていると言われました


50代女性、高血圧と高脂血症で通院中です。
「何か気になることありますか?」
「健康診断で、甲状腺が腫れているっていわれて。13年前にバセドウ病にかかったことがあって、それが心配です。」
「そうなんだ、バセドウ病の時はどうだったの?」
「うーん、お腹が空いて空いて食べても食べても痩せていきました。あと、手が震えて大変でした。」
「だよね、今はその症状がないみたいだから、まずバセドウ病の再発じゃないね。」
首を触ってみると、私には腫れている部分が分かりませんでした。はっきりさせるために、首のエコーをやってみることになりました。
「首のエコーを見ても、甲状腺に特に腫れている部分はないよ。甲状腺は大丈夫だね。ついでに頚動脈のエコーもやっておこうか。」
「お願いします。」
「頚動脈のエコーもとくに動脈硬化が進んでいるような所見はないよ。高脂血症の治療で、ちゃんと予防できているね。」
甲状腺は悪性度はそれほど高くはないのですが、時々腫瘤が見つかり、手術が必要になることがあります。まず首を触ってみて腫瘤があるかどうかをチェックするのが大切な健康診断医師の仕事だと思います。今回は特に問題ない所見でしたが、このようなことを繰り返すことで、腫瘍の早期発見につながる大切なことだと思いました。