70代女性、5月の末に咳、発熱症状で初診でした。
初診時の発熱は肺炎だったので、その治療を入院施設がある病院にお願いしていたのですが、そこから退院してきてから初めての診察です。
「先生、肺炎もあるけど心臓の弁膜症もあるって言ってたでしょ?あっちの病院で、弁膜症の治療は先生のところでしてもらうように言われたの。」
「そうなんだね。今は苦しいところはないのかい?」
「いや、ちょっと動いてもまだこわいのよ。」
「それじゃ、まず心臓の薬を2種類出すからそれをのんでみてください。」
「わかりました。」
こわい=苦しいとの事でしたが、さほど重症な所見もなかったので、心不全の薬を処方して帰宅してもらいました。
二週間後に再来となりましたが、今回はかなり苦しそうです。
「どうしたの?」
「ともかく苦しくなってきて。おとといから特に苦しくなったのよ。夜、横になると咳が出て苦しくなって目が覚めてしまうのよ。」
両足が浮腫んでいて、レントゲン写真を見ると、少し肺に水も溜まっています、心不全なので、入院して治療した方が良いような印象でした。
「あのね、足に水が溜まっているし、それが肺の方まで上がってきているのよ。これは入院が必要な状態だと思うよ。」
「それはともかく嫌なの、なんとかして。」
息子さんも診察室で一緒にいて、息子さんも同じ意見のようです。
「それじゃ、薬を増やすことにするから、今日、明日までに、薬が効いてぐっと良くなって来なかったら入院が必要だからね。ちゃんと連絡してね。約束だよ。」
「はいわかりました。」
連絡がないまま2週間後に外来受診となりました。今回はかなり調子が良くなっているようです。
「よかったね、胸の写真を見ると、すっかり水もなくなってるね。」
「足も細くなった。おしっこですごく忙しかったよ。」
「そうだよね、体重が3kgもへってるしね。」
「うん、良くなってよかった。入院しなくてよかったわ。」
かなりチャレンジな状況でしたが、脈が速くなかったこと、血行動態や酸素飽和度が問題なかったことなど、総合的に判断して外来治療を選択しました。
今回は結果としてとてもうまくいきました。それでも、やっぱりもう少し強く入院を勧めるべきだったかとも思っています。外来診療は本当に難しいです。
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