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脈が100を越えることがあります


80代男性、脈拍が多いとのことで受診となりました。
受診時、確かに脈拍が100を越えていました。
「そうですね、脈は一分間で100回を越えているので、確かに早いですね。それで、何か日常生活で困っていることなどありませんか?」
「特にないんです。」
「わかりました、それでは脈が早くなる原因が何かあるか調べてみましょう。」
「はいお願いします。」
心電図をチェックすると、脈は規則正しく、不整脈ではない(走った時のように、脈の回数が早いだけ)の状態でした。
そうすると、心臓や肺の状態が悪くて、それを補うために脈が早くなっているかを調べなくてはいけません。
胸部写真、心臓エコーでは異常がなく、また血液中の酸素飽和度も98%と問題ないようでした。
「そうですね、心臓や肺には問題がないようですね。そうすると、甲状腺機能が過剰になっているような状況を考えなくてはいけません。手で触っても問題ないようですが、念の為採血をして調べてみましょう。」
「はい、お願いします。」
「ただ、脈拍数にはかなり個人差もあります。日常生活に問題ない場合には、あまり気にしないようにするということが一番良い場合もあるんですよ。」
「そうなんですね。」
「ただ、脈拍を少し遅くする薬もありますので、甲状腺の検査に問題がなければ、それを考えてみてもいいかもしれませんね。」
「はい、わかりました。」
後日、検査の結果が出て、甲状腺機能は正常でした。薬についても今のところ必要ないとのことでしたので、しばらくこの状況で様子を見てもらうことにしました。
脈拍が多くなると、特に毎分100回を越えると、心配になると思います。ただ、自覚症状がない場合には、必ずしも病気が隠れているわけではありません。まずは循環器科の先生に相談するのが良いと思います。