44歳男性、昨日まで胸の痛みがあったようですが、今はかなり良くなっているみたいです。
「どんな感じだったのですか?』
「そうですね、1年くらい前から時々胸が痛くなっていたんですが、すぐに良くなっているのでそのままにしていました。」
「それで?」
「一昨日は食事を食べ終わってから随分と痛くなったんですが、目が覚めるとだいぶん良くなっていました。」
「なるほど。」
「でも、昨日も夕食後に随分と胸が痛くなって本当に苦しかったんですが、今日になるとまた良くなっていました。なにか、食べた後に胸が使える感じなんです。」
「そうなんですね、運動とは関係がないんだね。心臓の症状にしては少し普通じゃないんだけど、タバコも吸うんだし、念の為、心臓をしっかり調べてみましょう。」
心電図検査、胸部写真は問題なかったのですが、採血検査で心臓の筋肉が解け出してきていることがわかりました。急性心筋梗塞の診断です。
「検査を見ると、心筋梗塞になっていました。これからすぐに心臓専門の病院に連絡して、救急車で向かってもらいますね。」
「えっ?!そんなに悪いんですか。」
「そうだね、心筋梗塞だからね。いま、心臓の血管に詰まりかかっているところがあるのよ。それをしっかり調べてもらって、大丈夫なように手当してもらおう。大丈夫、ちゃんとよくなるよ。」
「わかりました、お願いします。」
「はい、もうタバコ吸わないでね。」
若年者の急性心筋梗塞の患者さんでした。症状も典型的ではなく、心電図検査でもはっきりとした異常が見当たらなかったので、採血をしていなければ見逃してしまう症例だったと思います。
当日、搬送先の病院から入院しましたとのご連絡をいただき、クリニック一同ほっとしています。
翌日の朝早く、ご両親が(お二人ともクリニックの患者さんでした)お礼に来ていただき、まだCCUだけれども、お元気でいるとのことでした。お話によると、クリニック受診後札幌まで行く予定であったとのこと。行っていたら何があったかはわからなかったと思います。本当に大事に至らなくてよかったです。
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