16歳男性、健康診断でWPW症候群と診断されたようです。
心電図で確認すると、確かに心臓内での電気的なつながりが早すぎるところがありました。
「そうだね、確かにWPW症候群の心電図だね。ところで何か今までに問題を感じたことがあるかい?」
「特にありません。」
「そうか、心電図で説明するけど、心臓の筋肉は電気的な刺激が伝わって収縮するようになっているのね。通常の心電図は心房の興奮が一度中継点を通って心室に伝わっていくんだけど、君の場合にはその中継点を通らないで近道を通っていく通路もあるのよ。」
「そうなんですか、何か問題はあるんですか?」
「通常は全く問題ない場合が多いよ。だけど、ときどきその近道の通路を刺激が逆向きに通ってきて、脈がとっても早くなる発作が起こることがあるんだ。」
「そうなんですね。」
「うん、さっき特に問題がないって言ってたよね。」
「はい、でも気がつかないことってないんですか?」
「うん、いい質問だね。普通は脈拍が140回以上にはなるから、気がつかないことはないと思う。そして、もし発作が起きても心臓がすぐ止まってしまうような危険な不整脈ではないから、そんなに心配しなくていいんだよ。」
「はい、わかりました。」
「だから、そのようなことや、何か変だなと思うことがあったら教えてね。」
WPW症候群は時々見かける心臓の刺激の伝導に異常がある状態です。通常は何も症状がない場合が多く、また頻脈発作があってもそれほど重篤な不整脈ではありません。
症状が出ない場合には治療の必要はないと考えますが、治療法にもいろいろな種類があり、問題の刺激伝導の異常を根本的に無くしてしまう治療法もあります。
何か心配なことがあれば循環器内科医にご相談ください。
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