60代女性、時々血圧や脈拍のことで相談にいらっしゃいます。
今回も、血圧190/94 脈拍98回で脈を落ち着かせて血圧を下げる薬をだすことにしました。
「それでは、今回もこれで様子を見ることにしましょう。なにか聞きたいことありますか?」
「先生、これって自律神経のせいですか?」
今日もなかなかに難しい質問が来ました。
「そうですね、自律神経っていうのは私たちが意識しないで体の状況を整えてくれる神経のことなんですね。私たちは自分の体の中で起こっていることはわからないで暮らしていけます。」
「はい、そうですね。」
「なので、血圧や脈拍、呼吸数なんかも基本的には私たちの意識の外、自律神経が調整をしているんです。」
「はい。」
「ただ、自律神経は私たちの意識の外にあって完全には思うようにはできません。」
「そうですね。」
「なので、医者としては『自律神経のせい』っていうのは少し違っているのではないかと思うんですよ。」
「どうしてですか?」
「だって、『自律神経のせい』って言われると、反論できなくないですか?自分の体に備わっている仕組みで、自分では思うようにならない。どのように働いでいるか、完全にはわかりません。」
「はい。」
「通常、『自律神経のせい』って言われると、自分のせいだから自分で何とかしなさいって言われているように感じると思いますが、それができたら誰も苦労しないんです。」
「そうですね。」
「なので、自律神経のせいであろうがなかろうが、どうしたいいかに注目していきます。今回も、前回と同じ薬で良いと思うんですよ。うまくいかないようならまた連絡してくださいね。」
「はいわかりました。」
医学は科学一分野ですから、できるだけ科学的に、かつ有益な方法を考えていく必要があると思います。なので、原因が『自律神経のせい』であろうがなかろうが、それについて何か良くできる方法を考えていくことが必要だと思っています。
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