70代女性、高血圧と高脂血症で通院中でした。
「どうしました、何か変な感じなのかな?」
「はい、今朝から急に脈拍が60回から30回になって、息苦しい感じがあります。」
「そうですか、まず心電図を撮りましょう。」
さっそく心電図を調べてみると、心房の興奮が心室に繋がっていかない、完全房室ブロックの状態でした。ただ、心室の収縮は毎分30回程度あり、極めて緊急な状態ではないようです。
「どうですか、だいぶん辛いですか?」
「そうですね、体がずいぶんだるい感じがします。」
「気を失うような感じはないですか?」
「それはありません。」
「それはよかったです。心電図を見せていただいたのですが、伝わっていかない状態にあるようです。」
「それはどういうことでしょう。」
「心臓の筋肉も、手や足の筋肉と一緒で、電気の力で動いているんです。今、電気の振れを見ていると、本来の体は60回で動きなさいという電気的命令を出しているのですが、それが心臓の中で伝わらなくなってしまっているようです。だけど、心臓そのものは安全装置が働いていて、30回では動いているので、重大なことにはなっていないですね。心電図上は完全房室ブロックって言いますが、馴染みないですよね。」
「はい、全然。それでどうしたらいいのですか?」
「そうですね、完全房室ブロックで脈が遅い事による症状がある場合には、ペースメーカーを移植して、しっかり脈が伝わるように機械に助けてもらうんです。そうするとすぐに症状が取れますよ。いますぐ、恵み野病院の循環器内科に連絡しますね。」
すぐに診療の手配がついて、入院加療をしていただけました。
一週間後には元気で再来していただきました。ペースメーカーを移植していただき、すぐに普通の日常生活に戻れた症例となりました。
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