50代男性、糖尿病と高脂血症で4ヶ月前から治療しています。治療開始時には糖尿病の薬を2種類のんでいましたが、それでもHBA1cが6.0%でしたので一種類に減薬していました。
「今日のHBA1cは5.8%でした。もう糖尿病の薬はいらないですね。」
「そうなんですか。」
今ひとつ不安そうでしたので理由を聞いてみると
「前の病院で糖尿病と診断された時に、砂糖水をのんで2時間後の血糖値が高かったのでその診断になりました。糖負荷検査はしなくて良いのでしょうか?」
「そうなんですね、糖負荷検査は75gという信じられないくらい大量の糖を負荷してその反応を見る検査なんですね。糖に対する処理能力を見るわけなのですが、この検査をするとやっぱり糖尿病の診断になると思います。」
「ですよね。」
「この処理能力は基本的には体質に左右されるものなんです。これは変えることはできないですよね。」
「はいそう思います。」
「でも最近はこの検査をほとんど行わなくなっています。」
「どうしてですか?」
「糖負荷検査をしなくてもよい理由は、HBA1cを知ることで、糖尿病の人の今後を予測できるからなんですよ。あなたの今後を決めるのは、体質じゃなくてHBA1cなんです。体質は変えられなくても、HBA1cは変えられるんです。」
「なるほどです。」
「そしてあなたの場合は、HBA1cが糖尿病の基準となる6.5%を下回っているので、この数字をキープしていけば、糖尿病の体質はあるけれども、基本的に心配ないということなんです。」
「そうですか、安心しました。」
医療で使う検査にはいろいろなものがありますし、時代によって考え方も変わっていきます。検査をすることで診断が出来て、今後の予想がつけられる。またそれによって治療法の評価も出来るのが最も検査だと思います。その意味でHBA1cが糖尿病治療で最も有用なになっています。
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