60代女性、時々薬をとりに来る方です。
診察が終わった後、聞きたいことがあるとのこと。尿もれで困っていて、泌尿器科の先生からは、これ以上の薬はないから、もし治療するとなれば婦人科で手術をしてもらった方がいいとのアドバイスを受けているようです。
「そうなんですよ、専門じゃないとは思うんですが、先生の意見を聞きたくて。」
「わかりました。じゃあ一般的な医学的な考え方を話しますね。」
「お願いします。」
「絶対手術をしなくてはいけない場合は、放っておくと寿命が短くなる場合だよね。」
「そうですよね。」
「癌などの悪性の病気がそれに当てはまると思います。それに対して顔のシミとかは本当に本人の希望だけで決めたらいい。この二つの間のどこかに今回の手術にふさわしい場所があると思うよ。」
「ですよねぇ、誰かに背中を押してもらえたら手術に踏み切れる気がしているんです。」
「うーん、その考え方はどうかな、あまり良くないと思うんだ。」
「どうしてですか?」
「尿もれで困っているのはあなただけなのさ。だから自分がどれくらい困っているかで決めるしかないと思うよ。」
「そうですか、もし手術するなら早いほうが良いかなとかもあって、それで迷っているんです。」
「なるほどね。でもね、迷っているなら手術しない方がいいと思うよ。自分で決心がついたら手術すればいいよ。手術の時期だって、後5年や10年は問題なく延ばせると思うし。」
「わかりました、ありがとうございました。何かカウンセラーみたい。」
医学上の決定は難しいことがたくさんあります。特に手術は引き返すことができない選択なので尚更ですね。たくさんの人と相談してもいろんな意見が出てきてかえって混乱してしまうこともあるかと思います。
自分の事なので、最終決断は自分でしないといけないと思います。ただ、しっくりくる決断をするために、信頼できる誰かと一緒に頭の中を整理するのはとても有用だと思います。
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