70代男性、隣の街から定期的にご夫妻で通院してくれている方です。
近くの内科で検査をした時に、甲状腺機能が低下しているって言われ、薬を処方されたそうです。
検査数値を見せてもらうと、甲状腺機能自体は正常範囲、下垂体から出る刺激ホルモンがやや高値で、体は甲状腺ホルモンが低下していると認識しているようでした。
「何か症状はありますか?」
「別に何ともないんです。そもそも甲状腺機能が悪いってどういうことですか?」
「甲状腺ホルモンは、体の基本的な代謝状況を決めるホルモンで、自動車に例えていえばアイドリングの時のエンジン回転数を決めています。」
「ほう」
「ホルモンが多すぎると、アイドリングの時の回転数が早すぎて、加速とかは良いかもしれないけど、燃費が悪いし(痩せてくる)、すぐ息が上がってしまう。ひどい時にはオーバーヒートを起こします。」
「なるほど、友人が50年前にバセドウ病の手術を受けたことがあります。」
「一方で少なすぎる状況が続くと、エンジンの回転数がなかなか上がらないので体の動きが鈍くなったり、むくんだり、いわゆる元気がない状態になります。あなたの場合、数値から見ると体は甲状腺ホルモンが足りないと感じているようです。実際に薬をのんでみて、調子が良くなったような感じはありますか?」
「私の場合、そういうのも全くありません。」
「甲状腺ホルモンの僅かな不足については、妊娠中などの特別な場合を除いて、自覚症状がなければ経過観察だけで良いと思いますよ。」
「そうなんですね、それでは薬はのまないようにします。こういう説明がしてほしかったな。」
ホルモン系の話は理解してもらうのがなかなか難しいですね。今回は納得していただけたようでよかったです。
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