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もっと血圧下げてください


60代男性、血圧が未治療でしたが、大学病院の歯科治療(手術)をするためにはまずは血圧治療が必要とのことで治療を開始しました。確かに治療前の血圧は220/120と重症の高血圧でした。
幸いなことに、大きな合併症もなく、1ヶ月経って、午前中の血圧は120/80程度まで下がり、午後は時々160くらいに達する程度までコントロールできました。
「血圧をもっと下げないと、手術してくれないんです。」
「ん!?本当なの?」
歯科からの手紙を見せてもらうと、麻酔科が受診の時に血圧が高かったことと、午後の血圧、特に下の血圧が100を越えないようにならないと麻酔を受けられないとの評価のようでした。
「ひどいよね、誰だって麻酔科に行ったら緊張するよね。」
「はい。」
「うん、私が歯科の先生に連絡しておくよ。もしそれでもダメなら、他の施設に行こうよ。」
「大学病院じゃないと治療できないみたいなので。」
患者さんは行ったり来たり、時間だけ無駄になって本当に気の毒でした。大学病院の先生と直接お話をすると、その先生も困っているようで、今回のキーパーソンは麻酔科の医師のようでした。
循環器内科医としては、朝の血圧はもう下がっているので、まずは最低限の安全は確保されていると思います。また、未治療の重症の高血圧でしたので、血圧の下がりすぎによる不具合が出てこないか、心配な面もあります。
それより、今困っている人がいるのだから、もう少しリスクを取ってあげる姿勢があるべきかと思います。麻酔科なので、血行動態の管理はプロなんですから。