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それでいいと思うんだ


40代女性、発作性上室性頻拍症(PSVT)にて治療中です。高血圧もあり、両方に効果のある薬で治療中。血圧のコントロールは良好で、前回の診察時には発作が一度あり、発作時の頓服を内服して良くなっていたとのことでした。
「それで、今回はどうだったの?」
「一回起こったんですよ。頓服を2回使って良くなりました。」
発作時の血圧と脈拍を見てみると、血圧は正常でしたが、脈拍は毎分140回になっていました。
「きつかったです。」
「そうだよね、140回はキツイよ。でも、基本的にそれほど危険な不整脈ではないから、おさまったらよしと考えていいんだよね。」
「はい。」
「でも、今はカテーテル治療も非常に有効で、あまり辛いようなら、そちらができる施設に紹介するよ。」
「はい、わかりました。これが毎日起こるようなら大変ですが、滅多に起こらないので、このまま様子を見ようと思います。」
「うん、私はそれでいいと思うんだよね。また辛くなるようなら教えてくださいね。」
「はいわかりました。あと、頓服は一回に2錠のむんですけど、奇数で出てました。どうしてかなって思って。」
「ごめんね、処方書き間違ったんだわ。今回も奇数で出すから、ちゃんと2錠でのんでね。」
PSVTは、発作時には脈拍が毎分140回以上になることも多く、かなりの頻脈になって辛いですが、基本的に心臓の機能障害がない場合には、相当の時間が続いても、それほど重篤な状況にはならない不整脈です。
不整脈のカテーテル治療は本当に進歩しているので、かなりの高い確率でPSVTは根治することができると考えていますが、今回のようにそれほど困っていない(十分に日常生活をやっていけている)場合には、無理にカテーテル治療に持っていかなくても良いかと考えています。
どんな疾患でもそうですが、それぞれの治療法選択に伴う将来の見通しと、本人が実際にどれくらい困っているかのバランスで治療法を決定するのが基本ですね。